プロが認めるコーヒーを作る。その追求にゴールはない
2015年の春、喫茶店文化のある神田錦町にオープンしたGLITCH COFFEE&ROASTERS。そのヘッドバリスタであり代表をつとめるのが鈴木清和氏だ。手を使った“モノづくり”が好きで、吹きガラスや陶芸にハマっていた時期もあった。自ら作った陶器のカップに「何を入れて飲むか」を考えていた時に、コーヒー好きの友人が淹れてくれた一杯が、その後、続いていく“コーヒーの世界”への扉を開いた。
GLITCHをオープンする前は、オーストラリアの最年少バリスタ世界チャンピオン、ポールバセットに師事。日本国内のクオリティコントロールを任され、韓国を含めたアジアのポールバセットの立ち上げに関わる。2014年のエアロプレス チャンピオンシップ、国内大会で優勝し、2015年の春、満を持してGLITCHはオープンした。それからたった2年半。世界中のコーヒーの生産者たちがそれぞれの農園で作る“産地ごとの味わい”を、卓越した焙煎技術によって引き出す鈴木氏のコーヒーは、国内はもちろん、海外のコーヒーマニアたちがわざわざこの街を訪れたいと思わせる一杯になった。そんな鈴木氏がいま目指しているコーヒーとはどのようなものなのだろうか。
ふらっとお店を訪れた方に「美味しい」と思ってもらえることはもちろんですが、コーヒーに詳しい人、特にプロに納得してもらえるようなコーヒーを作りたいと思っています。
そのためにGLITCHでは月1回、コーヒーにストイックに向き合うプロのバリスタだけを集めてカッピングをしています。それぞれが焙煎した豆を持ち寄ってポジティブな面、ネガティブな面を言い合うんです。プロたちがコーヒーを細かく表現するときに使う“共通の言語”で味やニュアンスを伝えることで、より具体的に“何が良くて、何がダメなのか”が分かります。
ネガティブなコメントが挙がれば一瞬イラッとすることもありますけど、同じ志を持つ仲間の言うことがだから、聞き入れることができる。それに何よりも、そのコーヒーをもっと良くするための改善点が見えてきます。改善点が見つかれば、その豆をどのように焙煎したのかを遡って、豆のポテンシャルが最大値になるポイントをもう一度探ることができる。コーヒーのピークを見つけて味を作り出すこと、これは自分ひとりではできません。100%の人が「美味しい」と言うコーヒーは、そう簡単には作れないのです。
コーヒーにゴールはない。産地の個性を引き出した、もっともっと美味しいコーヒーが作れるはずだ、常にそう思っています。そして、COFFEE COLLECTIONを通して、情熱が込められたコーヒーを伝え、その価値を評価できる人を増やしたいと考えています。
店舗情報
GLITCH COFEE AND ROASTERSのセミナーイベント
Interview & Text: Ayako Oi (CafeSnap)